信玄の用兵法
 ~合戦の心がけ~
 


 趣旨
合戦にあたっては、①敵の状況をよく把握し、部下によく知らしておけ。②勝負は10のものなら6,7分に止め、勝ちすぎぬように。③40歳までは勝つように、40過ぎてからは負けぬようにして前途の勝利を目指せ、以上3か条が大切ということ。
 要約
一、敵の強い点、弱い点を詳しく検討する。また、その国の大河・山坂・財力の状態、家中の武士たちの行状・行動、武勇の武士が大身・少身のうちにどれだけいるか、以上の点について、味方の指揮にあたるものたちによく知らせておくこと。
一、信玄公が仰せられるには、合戦における勝敗とは、十のものならば六分が七分、敵を破ればそれで十分な勝利であるとお定めになった。とりわけ大合戦においては、右の点が特に重要である。八分の勝利はすでに危険であり、九分、十分の勝利は味方が大敗を喫するもととなるということである。
一、信玄公が仰せられるには、戦闘の心得として、40歳以前は勝つように、40歳過ぎてからは先に負けぬようにとのことであった。ただし、20歳前後の頃であっても、自分より小身な敵に対しては負けなければよいのであって、勝ち過ごしてはならない。大敵に対しては、なおのこと右のとおりである。十分な思慮判断のもとに追い詰め、圧力を加え、将来の勝利を第一に考えて、騎長く対処していくべきだとのことである。

ここにこそ、武田信玄の戦いにおける思想が要約されている。信玄は、一気に勝敗を決しようとはせず、
将来の勝利を第一に考え、地道に力を養いながらじりじりと追い詰めていくことが大事だと教えている。



TOPページへ BACKします