東京の川と地形
 三つの水系


東京には次の三つの水系がある。一つは利根川、二つ目は荒川、そして三つ目は多摩川である。その三つの水系の規模を下記の表で表してみた。
河川名  流路延長(㎞²) 流域面積(㎞³) 
利根川  322  16,840 
荒川  169  2,940 
多摩川  123  1,240 
東京都の全面積は約2020平方キロであるから、荒川の流域面積は東京都面積の約1.45倍、同じく多摩川の流域面積はとの面積の約60%である。
これに対して、利根川水系の流域面積はけた違いに大きい。荒川も多摩川もそれなりに大きな河川であるが、利根川のそれと比べればまるで小川の如く小さい。
もっとも、利根川はかつてはと東京湾に注いでいた河川であったのを、現在は本流が東に付け替えられ、銚子に加工を持つ川になってしまった経緯がある。
利根川河口が東京湾から銚子に付け替えられた理由としては、利根川の洪水から江戸を守るため、江戸時代を通じて徐々に瀬替えをして利根川を東流させていったというのが通説であったが、実際には「利根川と淀川(小出博著「中公新書」)に次のようにある。
明治20年代の後半から30年代の前半は、足尾銅山鉱毒事件が起こって全国民の目が渡良瀬川に注がれた時期である。そして鉱毒は江戸川下流や下利根川にも、余波として広がりつつあった。明治政府は鉱毒水が江戸川を下り、東京府下に氾濫することを恐れ・・・・中下利根川を主流として銚子に落とす東遷物語を完結する。
というように、利根川水系の主流は明治中期まで「東京の川」として流れていたことがわかる。いずれにせよ、「広義の利根川」及びその河口部につくりだされた東京下町低地の存在こそ、各時代における江戸―東京の大都市形成上の重要な地域であった。




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