鷹山と農村復興 ~倹約の徹底~ |
鷹山は藩主の就任にあたり、大倹約の誓詞を神前に捧げ、奥女中を50人から9人に減らし、衣服を綿衣とし、自ら一汁一菜の全をもって範を示すなど積極的に節約に努めた。倹約令は、農民に対しても頻繁に出している。農業は国の根本の生業で、力を入れれば生活も楽になり、百姓は農業に身を委ね、つづれを身にまとい、藁で髪を結び、蓑を着笠をかぶり、腰には鎌を差し、鍬を携えて、本業に励むことが肝要である、と強調する。 農民が実施すべき倹約の具体的な内容として、次のような項目を挙げている。 1、男女の着物は絹織物は勿論いけないし、袖口に絹を縫い付けることもいけない。染色は浅黄か鼠色に限る。 2、羽織を着用してはいけない。ただし、老人に限り、綿の入っている羽織を着用してもよい。 3、合羽は着用してはいけない。ただし、肝煎、免許百姓は内袖なしの友装束なら差し支えない。 4、麻の着物、肩衣は着用してはいけない。但し、肝煎、免許百姓は着用を認める。 5、象牙などの類は用いてはいけない。達磨帽子如き異形の帽子は被ってはいけない。 6、婚礼のもてなしは一汁一菜で、酒の肴は軽いもの二種に限る。祝儀は当日だけで、三つめ、五つ目の祝を行ってはいけない。 7、契約の寄合に際しては、飲酒遊興を専らにする寄合の開催はいけない。 8、餅をたびたびつき、武士に贈るようなことは無用である。 9、法事を執り行う場合は親しい人のみを招き、大げさにしてはいけない。 10、家の造りの大小は所有する田畠面積の多少によるが、玄関、板敷、天井板を取り付けてはいけない。 家作の造営から飲食、着物に至るまで奢侈の風潮が見られ、そのため生活窮乏の原因となっているとの観点から、倹約を進めているのである。 |