領国経営の実力 ~三成十三カ条の掟~ |
文禄5年(1596)に石田三成が出した十三カ条の掟は、次の通りである。 一、人夫を出すときは千石に1人の割合でよい。それ以上必要な時は印判を認めた催促状を出し、年末にはまとめて飯米を支給する。 二、代官が村民の触れ歩き者を使うのは、その在所又は隣村までとし、農繁期に使ってはならない。 三、田畑の耕作権は、検地帳に登録された者に属する。 四、給人地(三成の家臣に年貢が入る土地)の農民が、蔵入地(三成に年貢が入る土地)の田を作った時は、一石について一升の米を提出させ、蔵入地の農民が給人地の田を作った時は、一石について二升の米を提出させて村の共有とし、夫役の際に使用する。 五、出作・入作の農民ともに、あきたからといって、休耕は一切認められない。 六、今後、桝は三成の署判のものを使うこと。これは、従来の桝を平均したものである。 七、農民は勝手に離村してはいけない。離村しても連れ戻す。 八、他村からの逃亡の農民は決して召し抱えてはならない。違反すれば、宿主はもちろん村民まで処罰する。 九、ヌカやワラであっても、代官が上納を命じたときは代価を支払う。不当に安く召し上げられたときは、書面にて訴え出よ。 十、蔵入地の村が給人地に変わった時は、給人地に出した掟を用い、この十三カ条は使用しない。 十一、何事によらず農民が迷惑することがあれば書面にて訴え出よ。ただし筋目のなきときは罪科になるから、よく調べてから訴え出ること。 十二、年貢米の上納については、一石について二升の口米を出す。俵は二重にして五里以内のところは農民の負担で運搬し、五里以上のところは飯米を支給して運搬させる。 十三、年貢率は稲を刈り取る直前、田畑を見分して決める。もし見込み違いが生じたときは、それを三等分し、二分は代官が、一分は農民の取り分とせよ。 |