日本のスポーツ界って(2019.1.27)
 
プロ野球、横浜DNAの主砲筒香嘉智選手が、東京都内の日本人外国特派員協会で記者会見を行い、子供たちを取り巻く野球界(というかスポーツ界全体といってよい)の環境改善へ提言を行った。
まず、野球少年少女の数は、少子化の倍以上のスピードで減少しているのだという。その背景には、野球だけではなく、サッカー人気、更にテニスやバスケなど、他のスポーツに興じる人が増えたこともあろう。そして野球における試合数の多すぎによる登板過多、疲労による怪我、それによって将来有望な選手が消えていってしまうといったこともあろう。しかし、旧態依然とした野球界(日本においては野球だけでなく、スポーツ界の過半がそうだと思うが)のいわゆる体育会系の荒っぽい気質、とりわけ先輩から後輩への理不尽ともいえる圧力、暴力等や、指導者による体罰、暴言といった、選手が委縮しかねない状態でスポーツせざるを得ない状況にある事が最大の問題ではなかろうか。

運動神経が鈍い私であるが、父がどうしても私に運動をさせなくてはということで(当時は文科系というものが市民権を得にくく、運動できないと男じゃない的な雰囲気が強かった)小学3年から野球を、小学4年の1年間は水泳をさせられた。いまにして思えば水泳は楽しく、続けていればよかったと後悔するが、小学5年のとき「野球と水泳、どちらかを辞めていいぞ」といわれ、何故か苦手だった野球ではなく、水泳を辞めてしまった。水泳スクールで、先生に名前を覚えてもらえず(私の本名は覚えられにくいため)それが嫌で辞め、野球を選んでしまったという情けない理由なのだが・・・。
野球では、ろくにキャッチボールもできない、飛んでくる、あるいは打席で投げ込んでくるボールが怖いやらで、まともに最後までプレイできず、守備ではフライが下手で取れず、守れない、そして走れない、打てもしないという、選手としては話にならない状況であったが、それでも6年の最後まで続けたのだ。
何が嫌だって、怒られること。暇なおじさんコーチがたくさんいて、しょっちゅう怒られる。何だかんだで褒められたためしなんかありゃしない。こんな怒られっぱなしじゃ、怒られるのが嫌になるから、怒られないように目立たぬように振る舞うしかできなかった。
この4年間は実に無駄だった。水泳を続けていれば、それなりに泳げていたので、それなりの立場になって、己の人生も違ってたんじゃないかって言う後悔はあるが、今日はなすことはそんな話じゃない。(と言っている割に、長く少年期の話になったが)

私が言いたいのは、楽しく運動をやれてなかったということ。
もちろん、優秀なアスリートを育成するためには、厳しさは当然必要だし、それに伴いハードなトレーニングは必要不可欠だ。それは日本でなくても世界中皆同じ。
しかし、まずは「どんな人間も楽しめるスポーツの環境づくり」をしてほしいと思う。私が子供の頃より数十年たった現在では、はるかにその環境は向上しているだろうけど。少なくとも、皆が皆アスリート的な立場になるわけではない、趣味で楽しめるスポーツを、社会人になっても続けられるように、子供の頃からまずは楽しくプレイできるようにしてほしいのだ。
怒鳴ったり、蔑んだり、時には殴ったりでは、スポーツすることに嫌悪感すら抱きかねない。運動神経が無く根性がない私の負け犬の遠吠えだと言われてしまえばそれまでだが、もし私が怒られたりせず、のびのびさせてもらえば、ある程度は今も継続して運動を続けていただろう。
「のびた君でも、運動を継続できる社会」というのが理想だと思う。

そしてアスリートを目指す人にも、もっと柔軟な環境づくりをしてほしい。リトルリーグを出ていなければプロに入れないのが現在のプロ野球界の現状らしいが、正直サッカーもバスケットもやっていて、野球も併せてやる人が、プロになってもよい。環境と言ってきたけれど、一番大事なのは、指導する大人たちが柔軟になることじゃないのかな。



戻る